自費根管治療(純正K.SRCT法)

根の周辺が治るのを待つ治療ではありません 

日本で行われている治療は、治るのを待ちます。具体的には、歯をピンセットで叩いて痛くないとか、しかし響くのは変わらないので何回も歯科医院に通わされます。そのたびに、弄られて痛くなるのです。

それは、一旦、根尖孔付近に感染が生じてしまうと、お薬の交換をしていても治りにくくなります。ですから半年通っても一向に治らない、そして挙句の果てには抜歯の宣告となるのです。しかし、当会の治療コンセプトは、しっかり根の先の孔に蓋をしてしまう事により、生体の異物としての解除をさせるようにします。積極的に治しに行きます。よって、治療すれば自ずと多くの症状は消失するのです。

よって、前歯の根管治療ならば、1,2回。奥歯でも5回程度で治療が終了します。

なぜこの様な事が出来るのか?根尖孔は楕円形で有ることが多いのです。そして、しっかりとそこに蓋をしようと思えば、固体の材料を詰め込んでも達成できません。よって、半固体として根の先まで持って行き、そこで固体化させるのです。それに適したガッタパーチャという材料を選択しているのです。

この方法は別に革新的な方法では無く、ウォームガッタパーチャテクニックとして米国では普及している方法です。しかし米国式根管治療の場合、半固体化させるのが、根の中に詰めた後に、細い火鉢の様な器具を差し込んで軟化させます。よって問題は熟練した人が行わないと、根尖孔付近のガッタパーチャは軟化されないので閉鎖が甘くなりやすいのです。

尚、ガッターパーチャは側方加圧根充法でも使われていますが、その良さが全く生かされていないのです。


重要なのは、根尖孔をしっかりと発見してそこまでガッタパーチャがしっかりと滑り込む通路を作ること

これを根管形成と呼びますが、根の先端付近と根尖孔の探索は、機械化できません。ファイルと言うマチバリの様な器具を使い、手の感覚で根の先を探す必要があります。尚、根の上部3分の2は機械化した方法を使ってまいります。そして、段差の無いスムーズな滑り台の様な形態に仕上げます。そこをガッタパーチャが根尖孔に向けて滑り込ませます。この根尖孔の閉鎖が一番大事なのです。ラバーダムをしてもこの根尖孔の閉鎖ができていなければ治りません。そしてこの根管内を専用の超音波洗浄器で洗浄し、マイクロスコープで見て、見える範囲にはゴミ一つ無い状態にしておく必要があります。当然、薬剤を使って洗浄殺菌をすることは根管充填をする以前にしっかり到達しておきます。

根尖孔を完全閉鎖をします

軟化させたガッタパーチャを垂直加圧根充により根尖孔を完全閉鎖します。

バイオセラミックシーラーを使います

ガッタパーチャ単独で根管充填をした場合、経年変化による収縮が問題になります。ワインのコルク栓を想像してください。もしもコルク栓が経年変化で収縮してしまった場合はどうなるでしょうか?当然ワインが漏れてしまいます。これと同じことが根管充填でも起こりえるのです。このコルク栓がガッタパーチャによる蓋なのです。これを補償するのが、シーラーと言うコーキング材(隙間埋め材)のような材料です。現在、保険診療で使われるこのシーラーはやや収縮傾向があるのです。当然収縮してしまうと漏洩の問題が起こります。実際に長期症例を観察していると垂直加圧根管充填により治癒していた根の先の骨の病変が、再発してくることがあります。この原因となる一つが根管充填剤の収縮なのです。

このシーラーですが、近年、収縮せず膨張し、更に歯の成分であるハイドロキシアパタイトまで作り出す材料が開発されました。これがバイオセラミックシーラーです。このシーラーを使うことにより長期の安定した結果が得られるようになってまいりました。



治療成績

同法人の小机歯科医院での12年間分の全てのレントゲンをチェックいたしました。評価対象としては、術前と術後があるものです。その結果、抜髄処置、感染根管処置ともに成功率は9割程度を確認しています。

ただし、感染根管処置は、歯根が折れているような歯は当然ながら、治療対象とはしていません。又、この感染根管処置の予後の数字は良すぎると思います。もう少し症例を増やせば実際には8割程度になると予想しています。

成功とは、抜髄処置(初めて根管治療を受ける歯)に関しては、評価時に根尖病変(レントゲンで根の先に影)を生じていないこと。感染根管処置(再治療)では根尖病変が改善している歯としています。米国基準の場合、根尖病変が生じていても咬めれば成功としていますのでもっと厳しい評価です。

なお、以下の統計には、保険診療の根管治療、自費診療の根管治療、両方の治療結果の合計です。

抜髄症例(初めて根管治療を受ける歯)

抜髄症例の成功率

当会の小机歯科で251歯の抜髄歯(最初に根管治療をした歯)の約5年後のレントゲンを見ました。その中で、根尖病変が認められたのは11歯でした。つまり、95%程度は問題が無いと思われます。ただしこれらの症例は抜髄後処置後に来院されて偶然にレントゲンやCTに同部位が映っていた場合の評価の歯が多いです。


感染根冠処置(再治療)

一度、他の歯科医院で根管治療をされた歯の再治療の統計です。評価は、最初の状態からどのように変化をしたかを判定しています。根尖病変があった場合は、その病変が拡大したのか、縮小したのかを評価しています。165歯の結果は良すぎる結果になりました。9割は根尖病変の縮小が認められました。しかし、実際には、治療後に歯根が割れてしまって他の歯科医院で抜歯をされた歯も有る可能性もあります。よって実際には抜髄処置歯よりも予後は良くないと思われます。


日本における根管治療の根尖病変の出現率

須田論文

須田らによると、根管治療を受けた歯の50%以上に根尖病変を生じていると報告をしています。この論文は今から15年くらい前のことですが、恐らく、現在も変わっていないと思われます。

この論文は、東京医科歯科大を訪れた患者さんのレントゲンの観察による報告です。おそらく、オルソパントモという全体が映る写真を見て、歯の根の先が黒い割合をカウントしたものだろうと思われます。治る途中や、瘢痕状のモノもあるので一概には病変とは言えないとはしているものの、それでも根尖病変の発現率は5割以上という驚くべき発現率といっています。

敬友会の根管治療は成功率が高いのか?

日本の根管治療の成功率が40%台なのに、敬友会は90%以上なのか?一番のファクターは根の先の根尖孔という孔の閉鎖方法が違うからです。日本で多く行われている側方加圧根充ではなく、垂直加圧根充を採用しているからです。それも米国式の垂直加圧根充を改良した方法です。

さらに、垂直加圧根充法で根管充填を行っても、根尖孔の閉鎖ができていない場合は、やり直すからです。これはレントゲンで判定します。

世界の論文では側方加圧根充と、垂直加圧根充では予後に差がないとか、やや垂直加圧が良いとかの報告があります。しかし、これらは一人の歯科医師が2つの違う方法を多数の患者さんに行った予後の比較では有りません。つまり複数の歯科医師が行った2つの方法の比較なのです。というのは、歯科医師自体に技量の差があるので、比較にはならないのです。

理事長の久保倉は大学卒業後10年程度は側方加圧根充を行っていました。この場合の予後の悪さは実体験してきました。根の治療をした歯はいつまでも咬めないとか響くという患者さんが多かったからです。これには悩んで、国内をはじめ海外の根管治療のセミナーを受けて垂直加圧根充に切り替えました。ただ、当初はオピアンキャリア法や米国のCWCT法を使ったのですが、若い歯科医師に教えるのが非常に困難な方法でした。それは経験とカンが必要だったからです。

そして、考えたのが、ケースルクト法です。オピアンキャリア法とCWCT法を融合させた方法です。この垂直加圧根充法に切り替えて12年程度たちました。

その予後の報告が上記の統計です。その結果、側方加圧根充時代に生じていた、慢性疼痛は、ほぼ無くなりました。さらに根管治療の期間も非常に短縮されました。

相模原敬友会歯科では、どの歯科医師が行ってもケースルクト法をベースとした方法で根管治療を行っています。ただ、この様な根管治療を行おうと思うと、一回当たりの診療時間を長くとる必要があります。現在の保険制度では、かなり厳しい側面がございます。よって、できれば自費の根管治療を受けて頂けるとありがたいと考えています。

世界の根管治療費用

右の図は、一般向けの本を執筆するに当たって、全世界中の歯科医師のHPから根管治療の費用を調べたものです。歯の種類の区別もありませんので、かなりラフな数字です。しかし、おおかた間違いはないと思います。

治療費用が高ければ良いというのではなく、日本の健康保険の診療報酬は発展途上国以下なのです。

日本の1万円という数字も、奥歯での場合です。前歯はもっと低報酬です。




久保倉弘孝 著:「だから歯が治らない本物の根管治療を受ける」より


世界の根管治療費用